多義(反転)図形


ネッカーの立方体(2014/11/04掲載)(2015/06/08説明文訂正)

-解説-
中央の図形がネッカーの立方体である(厳密に言うと同図形として有名なのは白黒の線画であるが、ここでは色をつけている)。
これは左図形のように斜め上から見下ろした四角い筒、もしくは右図形のように斜め下から見上げた四角い筒、のいずれかのように見える。これをしばらく注視していると、右図形のように見えていた場合には左図形のように、左図形のように見えていた場合には右図形のように見えが変わる。つまり、知覚内容が入れ替わる。さらに注視を続けると知覚内容が再び入れ替わる。
物理的内容が常に一定であるにもかかわらず時間経過により見えの意識内容が変わるため、ネッカーの立方体は意識を生じる脳内過程を抽出するための有益なツールとして期待される。 つまり、知覚内容が交代する時点で特異的に生じる脳内反応があれば、それが意識を生じる過程に何らかの形で関わっていると推測できる(実際はそんなに簡単な話ではないが)。

ネッカーの立方体


コメント:「この現象が何の役に立つのですか」という問いにどう答えればよいのかわからなかった時期があって、結局は脳科学の立場から答えを得ることにしたけど、脳科学が成熟する前のこの現象の研究的な位置付けって何だったのかすごく気になる。

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